目に見える全て
学生の頃は今ある生活そのものが、
世界の全てだった。
この学び舎だけが、自分を助けてくれる場所
自分を強くする場所、そして
不意に独りにする場所だと思っていた。
だけど今は、今いる場所が全てで。
前より広い範囲で生きているというか。
単純に車や原付に乗れる事で
行ける距離が増えた事もあると思うけれど、
でも、あの時は誰かが動かす車や電車
そして自分一人で漕ぐ自転車や、
歩く事が自分の世界を広げる方法だった。
自分が自分の足で自分の世界を広げる度に
知ってる覚えてる道が増えて、
知らない街や、知らなかった家が
隣街や友達の家になったりした。
そしてそれら全てが自分の世界の一つになった。
今いる場所だって、あの時には
想像もつかなかったと思う。
そしてこれから何年後も
自分が何処に居るのかなんて
全く分からないし、分からなくても良いと思う。
もし、今その考えすら楽観で
間違っていると言われたとしても
自分が感じた全てが、
今は全てで良いと思っている。